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首を傾げたフィオが苦笑した。
「あれ、未夜君、怖がらないんですね。幽霊のこと、怖くないんですか?」
「はい」
幽霊を怖いと思ったことは一度もなかった。未夜にとって怖いものは、怒った葉月くらいだ。礼もそう思っているに違いない。
「そうですか。なら、問題ありませんね」
「問題大ありです!」
葉月がテーブルを両手で叩き、怒った表情を浮かべる。
「この件に未夜を巻き込むのは反対です。未夜にもしものことがあったら、どうするんですか?」
「もしものことが起こらないように、あなたが未夜君を守ればいいんですよ」
二人は無言でしばしにらみ合った。先に視線を逸らしたのは、葉月の方だった。
たかが幽霊騒ぎで、葉月がこんなに感情をあらわにするとは思わなかった。
彼が未夜を心配しているのは、嘘ではないのだろう。しかし、もう一つ何か理由があるのではないかと感じていた。未夜に決して知られたくない、決定的な理由が。
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