わがまま少女と執事

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「ミラノ、あなたは前に進みたいのか、進みたくないのか。どっちですか?」 「……」 葉月は答えない。口を固く閉じ、ぎゅっと手を握りしめていた。 遠くの方から人々の声が響いて聞こえてくる。未夜はこの部屋だけが、別世界になってしまったような錯覚を感じた。 「本当にこのままでいいと思っているんですか?」 葉月に向けられていた視線が、未夜に移される。 フィオの目は真剣だった。彼の目から言葉にしなくても、強い思いが伝わってくる。 無意識のうちに入っていた肩の力を抜くと、葉月を見やった。 「私は葉月の足手まといかもしれないけど、一緒に幽霊騒ぎを解決したい」 「それはだめです」 「お願い、葉月」 じっと葉月の目を見つめて、右手を取る。握る手に力がこもった。
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