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葉月は首を振り、未夜の手をはずす。
「この件にあなたを関わらせるつもりはありません」
「葉月!」
「フィオ校長、幽霊騒ぎは私一人に任せてください。では、失礼します」
立ち上がった葉月は、一度もふり返ることなく部屋から出ていく。ガチャンと扉が閉まる音が、なぜか大きく聞こえた。
こんなに突き放されるとは思わなかった。
未夜は気持ちが沈んでいくのを感じる。血のつながりはなくても、家族同然である葉月に冷たくされるのはつらかった。
「ミラノのことを嫌いにならないであげてください」
「え?」
「彼は誰よりも、未夜君を大切に思っているんですから」
突然の言葉に驚いたが、フィオの微笑んだ顔を見て素直にはいと言って首を縦に振れた。未夜が頷くことができたのは、葉月に大切に思われていると知れて嬉しかったからだ。
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