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「じゃあ、どうやってあのバケモノを倒すって言うんだよ!」
『私はそんな事教えません。それは自分で見つけるのです。自分で理解するのです。そうしなければこの先お前は挫折したときに前に進め無くなるからです。』
シュンは腹が立った。自分で違うとか言っておいて教えないなんて理解が出来ない。
「どうしろって言うんだよ、俺にはお前の言っている事ながわからねぇ。」
『仕方ありませんね、ならヒントをあげましょう。質問です、お前はあの人達を助けたいのですか?それとも見捨てますか?』
「それは、助けたいに決まっているだろ!」
正直に助けたいとシュンは思っていた。目の前で死んでいく人を見過ごして逃げるなんてことはしたくない。でも………。
『そうです、その思いが大事なのです。お前なら出来るはずです。だから自分の思うように戦えばいいのです、あいつ等には倒し方も技術もいらないのです。』
そう光の精霊が言うとシュンの体が光に包まれる。
『お前は時代の旅人です。奴らを倒す答えはお前の心の中にあります。』
そして光が消えると目の前に武器と防具が置いてあった。
「これは…………。」
目の前の武具をみてそう呟く。
『私からの贈り物です。大事にしてください。』
俺は迷った。
これを受け取ったら暴走獣を倒さないといけなくなるだろう。
シュンは考えた。
そしてミズハの言葉を思い出す。
―「シュンは時代の旅人なんでしょ、助けてよ!村を救ってよ!お願いだから!」
その言葉を思い出すと胸の奥からなにかが沢山こみ上げてきた。
なにかはわからない。
思うように行動出来ない自分への怒りか、それとも恐怖なのか。
でも、ひとつだけわかったことがあった。
「ありがとう俺、やってみるよ。」
そう言って武具に手を伸ばす。
そう、決意だった。
『では、健闘を祈ります。』
そう言うと目の前の空間が変わる。
さっき見た浜辺だった。
「やるしかねぇな…。」
そう言って光の精霊に渡された武器を握りしめる。
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