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暴走獣は悲鳴を上げた。
痛みか、それとも怒りかはわからない。しかし、シュンはそんな事気にせず傷口から吹き出た真紅の液体をかいくぐり暴走獣と一旦距離をとる。
「はぁ、あ、当たった……。」
初めての感覚を手で確かめもう一度剣を強く握る。
『今みたいに敵の弱点を狙うのです。感覚を忘れないでください。』
光の精霊にそう助言を貰うと暴走獣がまたシュンに向かって牙をむけ突っ込んできた。
「もう、俺は迷わない!!」
さっきのように攻撃をギリギリまで引きつけて左に跳ぶ。
狙うはさっきつけた傷口。
思いっきり右手で持った剣を振るう。
ヒュンッ!!
刃が宙で踊り傷口をさらに広げる。
「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
血が勢いよく飛び散りシュンに降りかかる。
「よしっ!」
暴走獣の後方に抜けて降りかかった血を拭う。辺りの空気は少し鉄臭かった。それが血の匂いだとわかると、生き物を殺しているという罪悪感におそわれた。
――俺、今殺してるんだよな……。
無様に倒れている暴走獣の方を見る。まだ、死んではいない。暴走獣は必死に首を上げ、シュンを睨んでいた。
――やっぱり、殺しは嫌だ。
シュンは下を向いて血の付いた剣を眺める。
その時だった!!
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