53人が本棚に入れています
本棚に追加
「今、村の人達が戦ってるけどいつまでもつかわからないよ……。」
ミズハは泣きながらシュンにそう言った。
「畜生!!、なんでいつも俺は大事なときに無力なんだよ!!」
自分に対する強い怒りをどのように処理したらいいのかわからず、拳でおもいっきり布団を叩く。
「そんなこと無いよ。シュンは戦ってくれたじゃん。」
ミズハはシュンの怒りを抑えるようにそう言った。
「ミズハはそう言うかもしれないけどそれじゃダメなんだ。」
シュンは力なくそう答える。
――俺がやらなきゃ誰がやるんだ……。
どうしたらいいのかもうわからなかった。
みんなを助けたい。
けど、体が動かない。
――でも、俺は時代の旅人なんだ……。
まだ、激痛が走る体を無理やり起こしなんとか立ち上がる。
「ミズハ、武器をとってくれ……。」
棚の上にある自分の武器を指差してそう言った。
「えっ!ダメだよ。安静にしてなきゃ、それにその体じゃ戦えないでしょ。」
「だとしても、俺が行かなきゃダメなんだ。俺がこの世界を救うって決めたから。」
そう言うとシュンは枕もとに置いてあった自分の上着に袖を通した。
「わかったよ。でもこれだけは約束して。」
そう言ってミズハはシュンに武器を渡す。
「必ず生きて帰ってきてね。」
「おう、約束するよ。」
そう言うとシュンはゆっくりと部屋を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!