0日目

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   明日から長期休み。  皆が喜ぶこの日に、橘 絢子(たちばな あやこ)は今、モーレツに悩んでいた。 「あぅ~、もう一週間しかないよ~…」  そう言いながら、求人誌とファッション誌を交互に見て、またため息。 「あらあら、どうしたの?絢子ちゃん」 「誠君…」  心配そうに声を掛けてきたのは、クラスメートの花音 誠(はなおと まこと)。  オネェ系な性格と喋り方だが、歴とした男だ。  絢子は、縋るような目で誠を見上げ、またまたため息。 「あんまりため息ばっかだと、幸せ逃げちゃうわよ~?」 「今、まさに、幸せが逃げて行きそうなの…」  しょんぼりと頭を垂れた絢子に、誠は隣の席に座って目線を合わせる。 「本当にどうしたの?アタシで良ければ話聞くわよ?」 「…うん…」  絢子は俯いたまま頷いて、口を開く。 「あのね…、次の次の日曜日、彼氏の誕生日なの…」 「あらっ!素敵!じゃあ誕生日プレゼントで悩んでるの?」 「…ううん」  
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