1日目

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   美月の言葉に、男は鼻にティッシュを詰めながらため息をつく。 「そりゃないでしょ、美月ちゃん。ちゃんと、紹介してよ」 「仕方ないですねぇ…、ご自分でどうぞ」 「あー…、うん」  男は頷いて、絢子に向き直る。 「えっと、改めてまして。社長の真田 誠一(さなだ せいいち)だ」 「…さいですか」 (嘘くさい名前だなぁ…)  どの辺が真で、どの辺が誠なのか、とても疑わしい。 「あ、今嘘くさいとか思ったでしょ?」 「(ビクッ)ま、まさか…」 「まぁ、嘘くさい名前ですよね。でも、これが本名らしいんですよ、どうして名前の通りに育たなかったんでしょうね、親不孝に程がありますよね」 「そうですね」 「あのさぇ、もしかして俺イジメられてる?」 「「まさかまさか」」  少しムスッと顔で誠一は美月と絢子を見て、ため息を吐き出す。 「はぁ…、まぁいいけど、それよりお嬢ちゃんはオジサンに自己紹介してくれないの?」 「あわわわわっ!す、すみません!」  
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