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「ごめんね。昨日からバイト始めてて」
『そっか、じゃあ当分会えないのか?』
「…うん、でも誕生日には家に行くから」
『無理はすんなよ。別に誕生日プレゼントなくても、俺は気にしないから。誕生日に俺の家に来てくれるだけでいいからさ』
「ううん、誕生日プレゼントあげたいもん。そのためのバイトだから。ちゃんと誕生日プレゼント持って行くよ」
『そっか。楽しみに待ってる。じゃあ俺もバイトあるから』
「うん、じゃあね」
『プツッ』
絢子は電話を切って、長く長く息を吐く。
(本当に付き合ってるだなぁ…)
1ヶ月前から、彼氏・彼女の付き合いを始めたのだが、まだ確固たる実感がわかない。
そもそも、男性と付き合うのは今の彼氏が初めてで、それも長い片想いの末だった。
別の高校の同い年。
友人から紹介されて、とても優しく接してくれる彼に、絢子はすぐに恋に落ちた。
けれど、告白なんてしたことがなくて拱いていた絢子に、1ヶ月前に彼から告白してくれたのだ。
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