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絢子は上へ上へと登っていくエレベーターの中で、呟いた。
「大丈夫かなぁ…」
今日からは美月が居ない。
昨日の内に、美月から書類の仕分け方や、出来上がった書類を運ぶ場所、誠一のあしらい方を教わったのだが、如何せん不安だ。
(昨日は、美月さんが居たからなぁ)
誠一に対しても、美月と空気を共有することで上手くあしらえたんだと思う。
それが、今日からは一人。
やっぱり、不安だ。
(ううん!後6日間だし!頑張る!!)
意気込み新たに、絢子は最上階に着くと同時に歩き出して、真っ先に社長室を開ける。
『バンッ!』
勢いよく開けられた社長室の扉。
そして中は。
「………」
もぬけのからでした。
「い、居ないし…」
思わず出足を砕かれ、床に膝を付いてうなだれる絢子。
(流石に、朝から居ない時の対処法なんて聞いてないよぉ……)
想定外、本当に想定外過ぎる。
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