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「セ・ク・ハ・ラです!!」
「あー…、世知辛い世の中…」
誠一はグチグチと愚痴を零しながら、デスクに向かう。
その背をしっかりと監視しながら、絢子も書類の仕分け作業に入った。
「ねぇ、絢子ちゃ~ん、息抜きしよ~よ、息抜き~」
「その机に乗ってる山を片付けない限り休憩はなしと、美月さんに言われてるので」
こんなやり取りが、朝からずっと続いてる。
誠一は書類を一枚仕上げるたびに「息抜き」だの「休憩」だのと、うるさい。
「だって~、せめて10分でも休憩したほうが効率上がるよ~」
「…仕方ないですねぇ…」
きっと美月が入れば「甘い!」と怒られそうだが、こうもうるさくては絢子も仕事にならない。
(お茶飲まして、さっさと続きして貰おう…)
そう思い、絢子は立ち上がる。
「わかりました、お茶でも淹れてきますよ。何が良いですか?」
「んっ、コーヒーのブラックで」
「それじゃあ、行ってきますけど、逃げ出さないで下さいね?」
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