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絢子の言葉に誠一は嬉しそうな表情を浮かべて、手を振る。
「逃げ出さないで、ちゃんと絢子ちゃん来るまでの間は書類やってるよ~」
「はぁ…、お願いしますね」
少し不安を抱きつつも絢子は社長室を後にする。
確か、この階の給湯室は今は使えないため、この階の1つ下の階の給湯室を使えと、美月に言われたはずだ。
(あれ?2つ下だっけ?)
非常にそこだけ記憶が曖昧だ。
1つ下か2つ下の給湯室を使い、1つ下か2つ下の階には近づかないように、と念を押された筈だが、どっちだったか思い出せない。
(とりあえず、最初に思い付いたほうで…)
絢子はエレベーターに乗り込み、1つ下のボタンを押した。
1つ下の階にすぐついて、程なく給湯室を見つけた絢子は首を傾げる。
(あれ?昨日来た所と違うような?)
具体的にどこが違うかと問われればわからないのだが、何となく違う気がする。
「う~ん、戻ったほうがいいかな?」
呟いて、やっぱり戻ろうときびすを返した。
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