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「社長は、俺だ。幾らお前の恋人が幹部だろうが何だろうが、その気になりゃあいくらでもクビは切れるのよ」
「横暴よ!そんなの!?」
「横暴ねぇ?使えもしない女を会社に入れて金を騙し取る奴らと、そんな使えない奴らのクビを切る俺と、どっちが横暴か。ま、考えなくてもわかるよな?」
「っ…」
「わかったら、二度と彼女に近づくな」
女は悔しそうに頷いて逃げるように廊下の奥に消えていった。
(…本当にっ、社長なんだっ…)
疑っていたと言うわけではないが、今までの態度からあまり社長と言う実感が湧いていなかった。
どこか近寄りがたい雰囲気を出している誠一の後ろ姿が、絢子には別の人のように見えた。
「絢子ちゃん、大丈夫?」
さっきまでの雰囲気とガラリと変わり、何時もの緩い雰囲気を出しながら、誠一は絢子に振り返る。
「あ、はい。…社ちょ…誠一さんが来てくれたので」
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