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「ん。でも、頬に爪の痕残っちゃったね。オジサン氷貰ってくるから、絢子ちゃんは社長室戻ってなさいよ」
「え、でも…まだコーヒーも淹れてませんし…」
「大丈夫、それくらいオジサンにも出来るから。あんまり此処に居るとまた、さっきみたいな女に絡まれちゃうから…ね」
「それじゃぁ…」
絢子が頷くと、誠一は促すように絢子の背を押しながら歩き出した。
一足先に社長室に戻った絢子は、ただ黙って待つのも居心地が悪い気がして、書類の仕分けを始めた。
仕分けを始めて、すぐに社長室のドアが開けられる。
「おっやまぁ…、休んでて良かったのに」
「じ、時間が勿体無い気がして…」
「真面目だねぇ…、ん、嫌いじゃないけど」
誠一は微笑みソファーに座ると、手に持っていたコーヒーと氷嚢をテーブルに下ろす。
「ほら、絢子ちゃん、おいで」
「ぅ…は、はい」
そう言って手招きをされたのだが、何となく恥ずかしくてどもってしまった。
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