0日目

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  「うぅ…、やっぱり怖いよ~…」  絢子は化学準備室の前で、入るに入れずウジウジしていた。 (だって、ここ『鬼の住処』だよーー!?)  誰に言うわけでもなく、心の中叫ぶ。  そう、ここはドSで有名な白崎 要(しろさき かなめ)と言う教師が、管理責任者。  そのドSっぷりに生徒達からは、この化学準備室は『鬼の住処』と言う異名で呼ばれている。  それでも、一部の女子生徒からそのドSっぷりが人気らしいから、また驚きだ。  けれど、絢子にとっては怖いだけ。 「…無理…」  散々悩んで、くるりと回れ右。  すると視界いっぱいの黒。 「あれ?壁?」  化学準備室の扉に向き合っていたのを回れ右したのだから、廊下を挟んで反対側の窓が見えるはず、なのに目の前は黒い壁。  そもそも、この学校の内壁は白だ。 「何やってんだ、お前」  頭の上から振ってきた声に、絢子は恐る恐る顔を上げた。 「ひぃ!?し、白崎…先生っ!」 「人の顔見て悲鳴かよ」  
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