魔女と赤色。

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「この辺りは捨て子が多いそうね──だからこそ、町から置いてきぼりをくらうような西洋の教会というのは、恵まれない子供達に救いの手を差し延べるのでしょうね」 そう。彼女の言うように、目の前に伺えるこの教会というのは、宗教的な活動をする以外にも“教会ならきっと拾ってくれるだろう”という身勝手な理由で捨てられたりした子供を拾って、育てているといった、一種の擁護施設のような働きもしているのだ。 そして、その敷地の半分は、教会の礼拝堂とは違い、町並みに飲まれていない、まだ塗装の新しい建物──所謂保育園が併設されている。 彼女もこの赤い男も、まるで縁の無いような場所である。 しかし、この赤い男は約束があるからなのだが、果たして彼女は何故、こんな所にいるのだろうか。 たまたま散歩したかったのから、ここを通り掛かっただけなのか、それとも、彼女もここに用があると言うのか。
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