魔女と赤色。

6/7
316人が本棚に入れています
本棚に追加
/617ページ
「──その約束というのは?」 まるで見ず知らずと言った関係なのにもかかわらず、彼女は随分と踏み込んだ質問をする。 けれど、赤い男は気を悪くした風も無く、 「引き取り、ですね。ここで育てられている、ある女の子の」 と。 そして、続ける。 「別に俺の子供って訳じゃないんですよ。血縁もなければ、面識だって、引き取るにあたっての面会の一度きり。 でもね、頼まれたんですよ。それも、その子の親じゃ無いんですよ」 「へぇ、では一体誰なのかしら? そうは言うものの、実は本当の両親だと言う線が強いわね」 なんだか楽しむような調子だな、と赤い男は羅美を読めない人だと判断付ける。 「俺の師と呼ぶべき人なんですがね。何年も連絡を絶っていたのに、ある日突然連絡をして来て、『ある女の子の面倒を見てくれないか』と」
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!