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その後、再開された稽古だったが、隊士達が何処と無く滑稽だった。
スパァン!!
「……ふっ」
(えっ、何…)
飛んできた竹刀を弾き飛ばしたあと、何故か此方に視線を投げ掛け、片目を瞑ったり、不敵な笑みを浮かべてみたり。
はたまた防いだ体勢のまま暫く静止してみたり。
そういった隊士達はキメている間に竹刀や隊士の追撃に遭い、気絶していたが。
そんな中、やはりと云うか、沖田と藤堂は別格だった。
「さあって!朔に格好良いとこいっぱい見せちゃうよ!」
ぐるんぐるんと腕を回し、にっこり笑いかけてくる藤堂。
稽古が始まってもなお、「退屈じゃない?」や、「こんなに五月蝿いのにわんちゃん寝ちゃってるし!」などと、会話を絶やさない。
しかも朔と向き合って喋っているもんだから、相槌を打ちながらも此方としてはいつ何が飛んでくるか気が気ではなかった。
バシッ!!
「うわっ」
竹刀がぶつかる弾けるような音が響くと同時に、隊士の怯んだ声が聞こえた。
「待ってました!」
嬉々とした表情で素早く振り向いた藤堂は、円を描いて飛んでくる竹刀を一瞥し、丸腰のまま…
―――跳んだ。
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