朔の一日、屯所のあちこちにて

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「必、殺!!平ちゃん垂直蹴りぃぃ!!」 バシィッ!! あろうことか飛んできた竹刀を下から蹴り上げ、空中で一回転。 軌道修正された竹刀は垂直に円を描き… 「ぎゃーっ!!」 竹刀を手放したと思われる隊士の脳天に直撃した。 タン!! 「ふっ、決まった」 軽やかに着地し、眩しい笑顔を向けてくる藤堂。 (えぇ―!!) もう何から突っ込んだらいいのか分からなかった。 「さ、流石藤堂先生。防ぐだけでなく反撃まで」 頭に食らった隊士の相方が苦笑いを浮かべながら呟いた。 「やりますね平助。ちゃんと柄を蹴っていましたし」 「あったりまえ―!じゃないと本物だったら足が斬れちゃうじゃん」 (あ、そうなんだ。全然わかんなかった) 藤堂の動体視力や瞬発力もそうだが、打ち合いながら冷静に藤堂の動きを見ていた沖田も侮れない。 「朔っ、僕格好よかった??」 そう訊かれ、感心の意味合いも含めて朔は素直に頷いた。 「あはっ、嬉しい!」 本当に嬉しそうに笑う藤堂を見て、朔にも笑顔が感染(ウツ)る。 「平助、まだわかりませんよ!次はわたしですから。朔、ちゃんと見ていてね」 幾分面白くなさそうに沖田が声をあげ、隊士達は稽古に戻っていった。
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