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沖田は、凄かった。
朔の前に立ち、何故か今まで以上に飛んでくる竹刀を、(故意に藤堂が飛ばしてくるものが大半)右手の竹刀一本で全て叩き落としていく。
遂にムキになった藤堂が、
「ならコレはどう!?」
稽古中の偶然を全く無視し、間髪入れずに竹刀を二本飛ばしてきた。
「何本こようが同じですよ!」
あろうことか、沖田は突きのごとく真っ直ぐ飛んできた一本目を左手で柄を捕らえて止めてみせ、そのまま左の竹刀で二本目も叩き落としてみせた。
(う…わぁ…もう神業の域じゃないかしら…)
朔は沖田の後ろで微動だにせず一連の動きを見ていた。
「むぅぅ…こうなったら総司、尋常に勝負!!」
止められたのが悔しかったのか、地団駄を踏んだ藤堂は稽古を放棄し、手にした竹刀で沖田に突っ込んできた。
「臨むところです!」
バシィン!!
竹刀を打ち合う一際高い音が道場に響く。
「はっっ!!」
鍔迫り合いを制したのは沖田で、藤堂を弾き返すと間髪入れずに突きを繰り出した。
「当たらない!!」
体勢を崩されながらも、藤堂は身体を捻って突きをかわし、数歩下がって沖田と距離をとった。
「おぉ…久しぶりに見るな…」
「しっ、黙っていろ」
思わず隊士達も手を止めて見入ってしまうような、助勤同士の試合。
道場内の人間全ての視線が二人に注がれていた。
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