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第三章 香織と私
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「受験生って話、聞いたんですけど、それって本当ですか?」
私は思わず少女に、思ったことを聞いてみた。すると、少女はコクンと首を振った。
「それがどうしたの?」
少女の隣に立ってた彼女が私に質問してきた。
「どうしたのって、その子、さっき寮の場所教えてくれたから、だから不思議に思ったんです。どうして、ここの場所が分かったのかって?」
すると、少女は腹を抱えて大きな声で笑った。その姿に思わずムッときた。
「何が可笑しいんですか?」
「可笑しいんですか、ってやだ、わからないの。じゃ、教えてあげようか」
少女は私の顔をジロジロ見て、答えを待っている。仕方ない、と思った私は、「お願いします」と少女に頭を下げた。
「私、このHDD学園の理事長の姪で、よくここに来てたんだ。だからこの学園の事は詳しいわけ。ちなみに私はこのHDD学園中学部、遠藤香織、よろしくね」
少女、いや、遠藤香織はそういって、私に手を差し出してきた。
「よろしく」
私は差し出された手をギュッと握った。
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