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「ね、神様のホントの名前、教えて♪」
「知りたい?」
「うん。教えて欲しい。」
「俺、この名前、嫌いやねんなぁ。」
そう言って、神様はファミレスの合成皮革のソファに、背を深くもたせ掛け
「神崎海人。」
と、抑揚の無い声で言った。
─ 神崎‥?
一瞬、あたしの脳裏に四文字の漢字が浮かび上がる。
── 神崎 波琉 ──
純粋だった頃のあたしが、本気で恋をした彼の名前。
「どんな字、書くの?カイトって。」
あたしは、波琉(ハル)の記憶を振り払うように、笑顔で訊いた。
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