vol.02 嘘つき

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  「ね、神様のホントの名前、教えて♪」 「知りたい?」 「うん。教えて欲しい。」 「俺、この名前、嫌いやねんなぁ。」 そう言って、神様はファミレスの合成皮革のソファに、背を深くもたせ掛け 「神崎海人。」 と、抑揚の無い声で言った。 ─ 神崎‥? 一瞬、あたしの脳裏に四文字の漢字が浮かび上がる。 ── 神崎 波琉 ── 純粋だった頃のあたしが、本気で恋をした彼の名前。 「どんな字、書くの?カイトって。」 あたしは、波琉(ハル)の記憶を振り払うように、笑顔で訊いた。  
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