vol.20 marine-blue

28/29
前へ
/666ページ
次へ
  駅まで送ってくれた波琉は、植え込みに咲く青い花に目を遣った。 小さな可愛い花びらを、風に揺らしている。 「知ってる?この花。」 「見たことあるけど‥、分かんない。」 「はい。まりんの花♪」 波琉は茎を一本手折ると、青い花を、あたしにくれた。 「勝手に折ったりしたら、あかんやん。」 「ダイジョウブだよ。てか、変わんねーな。その真面目なとこ♪」 彼は、楽しそうに笑って 「これ、マリンブルーって名前なんだって。」 と、教えてくれた。 「マリンブルー?」 「そ。だから、まりんの花。」 あたしの指先で、小さな青い花が楽しげに揺れた。  
/666ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1111人が本棚に入れています
本棚に追加