vol.21 告白

5/29
前へ
/666ページ
次へ
  喫茶店を出た所で、五日後に引っ越すことを告げ、鍵はメーターボックスの中に入れておくと伝えた。 太陽はジリジリと照りつけ、蝉が、けたたましく鳴いている。 「じゃ、あたし帰るね。」 そう言って、手を振り掛けると 「あのな‥。」 彼は、いつになく真剣な表情で、あたしを見つめた。 「カレシと一緒でええから、引っ越すのヤメへんか?」 「え?そんなん無理。」 「なんでや?」 「だって、お客さんに借りて貰ったマンションに、カレシと住むのイヤやもん。」 「前は同棲してたやろ?」 「今カレは特別やねん。だから‥。」 答えるあたしは、まっちゃんに対して、不信感を抱いていた。  
/666ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1111人が本棚に入れています
本棚に追加