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合わせ鏡
窓も扉も無い部屋に、合わせ鏡。
そんな空恐ろしいことを考えて、背筋がひやりとした真夏の午後、永遠が私の事務所を訪ねてくる。永遠とはEienではなくTowaでつまり彼女の名前のこと。永遠は事務所の中央にある応接用の長椅子に寝そべるように座って煙草をふかし、「箱のなかに箱があって、その箱のなかにまた箱があるとしましょう。それがずっと続くんだが、すなわちこれが世界の構造、宇宙の真理」と言う。
なぜと私が訊くと、彼女は最新作だと言ってそれを投げて寄越し、「みてごらん。そんな画が描けたのでね」と言うのだった。
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