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「部長、報告があるのですが」
しばらくすると、別の部下が声をかけてきた。
「電気室の定期点検で重大な問題が発覚しまして」
「どうしたんだい」
「どうしたもこうしたもないんですよ。機器が全部故障しているんです。何もかもぶっ壊れています」
「そのわりに悠長に構えているね。そういう冗談は私は嫌いだよ。もし電気室が君の言うような状況に陥っているなら、この部屋だって真暗のはずだ」
「だからおかしいんです。どういうことでしょうか?」
部下は、先刻デジタルカメラで撮影したという写真を私の事務机の上に載せた。電気室の機器が滅茶苦茶に壊れている。ひどい惨状だ。
「この写真を見たらわかるでしょう。こんなことが有り得るはずが……」
「わかった、わかった」
私は面倒くさくなって、顔の前で大きく手を振り、部下の話を打ち切った。
「きわめて不可解なことだが、現状、業務に支障は出ていない。とりあえずこの件は明日確認することにしよう。お疲れさま。今夜はもう帰って、ゆっくりおふろにでも入るといいよ」
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