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ごめんね、と滅多に出ない涙を流しながら私を買った場所へと置く主人。
なんで涙が出るのだろう。
辛いから?悲しいから?泣くことによって何かが変わるの?
涙など流れない私にとって、人間の構造は不思議で仕方がない。
「絶対!アメリカから帰ってきたら、また……!」
「バイバイ」
造られた笑顔で最後まで見送る。
あぁ、この人が私の主人ではなくなった瞬間。
人間型携帯電話な私は。
「データ消去」
元主人の個人情報と共に記憶も消し去られてしまうのに。
そして、また。
「初めまして、ご主人様」
新しい主人に迎えられて、イチから始まる。
これが私の運命。
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