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───5月下旬。
ソナタがイギリス帰ってから約1ヶ月が経った。
相変わらず私は、つまらない生活を送っていた。
でも、唯一の楽しみができたおかけで、それほどつまらない訳ではなかった。
2日に一回は来るソナタからの手紙が、今の私の楽しみだから。
「ミライーっ!何読んでんの?」
そう言って私宛てのソナタからの手紙を、"バッ"と愛佳は取る。
愛佳も最近、色々と充実してるみたいだった。
「ソナタくんって、相当ミライのこと好きなんだね!
うちもこんな風に翔ちゃんに愛されたい~」
「はぁ?何言ってんの?アンタ充分、翔くんに愛されてんじゃん。
てゆか、別に私達付き合ってるかどうか……。」
「はぁ~~~っ?」
愛佳はガッカリしたような顔で私を見た。
何か間違ったことを言ったのか?と思いつつ、愛佳に首を傾げる私。
「ミライ……アンタ、バカじゃない?」
「バカ……?何で?」
「だから!なーんにも、わかってないでしょ?ソナタくんの気持ち。」
「ソナタの気持ち………?」
「会えないのは仕方けど、せめて言葉で伝えなきゃダメだよ?
ソナタくんは、こーんなにミライに気持ち伝えてるよ?
でもミライは何も伝えてないよね?違う?」
愛佳は少し怒った口調だった。
確かに愛佳の言ってることに間違えはなく、むしろ合っていて、何もわかっていないのは私だった。
私のしている『恋愛』は、世間でいう"遠距離恋愛"だ。
愛佳と翔のように、毎日会える恋愛ではない。
だからソナタは、毎日と言って良いほど、イギリスから手紙をくれた。
私はただ、その手紙に返事を送るだけ。
ソナタは手紙で、ちゃんと『大好き』と気持ちを伝えてくれる。
でも私は、告白した時以来から、その気持ちに対して
───ありがとう。
で、終わらせてしまっていた。
だから、本当に付き合っているのかもわからない感じだった。
進展したかもわからないような感じ。
唯一進展したのは、お互いを下の名前で呼ぶことくらい。
それを愛佳はなぜか知っていて、とうとう頭に来たらしい。
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