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それから少しだけ愛佳と口論になったが、すぐに話しは逸れた。
「そういえば。明後日、ソナタ帰って来るから。」
「あ、明後日!?なんかめっちゃ急じゃない?」
「そう?別に急じゃないでしょ、日にち的に。」
そう。
本当に急じゃない。
私は何度この日を待ち望んでいたか。
こんなことを思うよになった私は、多分、相当ソナタのことが好きなんだろう。
でも、この気持ちは私の胸の中だけの秘密。
すると愛佳は、何かを思い付いたように手を叩いた。
「ねぇ、ミライ!うちいいこと考えた!」
「いいこと?愛佳のいいことは、よくないことの間違えだよ。」
「ひっど。そこまで言うことないじゃん!」
「冗談だよ。で、何なの?」
「ん~。ミライちゃんには教えな~い!」
昔から、愛佳は調子に乗り始めると私のことをちゃんづけにする。
でもそれは小さな愛佳の優しさだったりもして、そんな小さな優しさに何度も助けられたこともあった。
「何があるかわかんないけど、楽しみにしとくね。」
いつもより素直になる。
自分でもわかるくらい、私のキャラじゃない。
「なんかいつもより素直じゃんっ!
まぁ、まだ翔ちゃんに話してないからわかんないけどね。」
「てか、いつやんの?」
「ミライとソナタくんが再開したら……かな?」
なぜか愛佳は疑問系。
「てかっ!
明後日ソナタくんが帰ってくるイコール明日は前夜祭だね~」
「前夜祭!?そんなのしなくていいって。」
「はぁ~っ!?前夜祭は必要でしょ!
本当っ!ミライちゃんは何もわかってないでちゅね~」
愛佳はまた調子に乗り始めた。
「とにかくっ!明日は前夜祭だよ?」
「うん。」
「乗り気じゃないね、ミライ。」
愛佳は少し拗ねる。
まぁ、かわいいから許せるけど。
「私、素直じゃないの。」
「そうでしたね~」
「でも明日病院なんだから…遅れるよ?」
「うん、いいよ!大丈夫!!
病院終わったらいつものカフェ集合だよ!
また明日声かけるね。」
「わかった。そっちの方がありがたい。」
「楽しみだねっ!」
愛佳は嬉しそうに笑い、放課後のチャイムが鳴って、下校した。
この時はまだ
───いつまでも、こんな日が続けばいいのに。
そう思っていた。
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