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昨夜、夏祭りから帰った雫は元気な振りをしていたせいか布団に入るなりすぐに眠ってしまった。
何となく心配で寝顔を見ていると、どうやら夢に魘されているのか苦しそうだ。
「汗掻いてるな…
タオル」
タオルで額や首元の汗を拭いながら、湊眞は少し熱いと感じる。
「熱あるんじゃ?」
湊眞はそっとオデコを触ると、やはり熱を感じるのだから氷枕や冷えピタなどを用意する事にした。
「…湊眞、はよ?
どうかしたの?」
「雫が熱あるみたいだから、氷枕とか準備してるんだよ」
「そっか?
何かお祭りから帰ってから、ちょっと変だったもんね?
空元気みたいな」
「うん?
お祭りで雫をウサギにした奴に会ったんだ…」
「そうなんだ?
どうだったの?」
「うん?
雫にあげたのは暗示を掛けた普通のアメだったらしい」
「ふぅん?
催眠術みたいだね」
「けど、雫はあの日の占いで死期が迫っていたらしいんだ」
「つまり?
湊眞が助けなかったら死んでいたって事かな?」
「らしいんだけど、いまいち納得はいかない」
「へぇ?
なら、良かったんじゃん?」
「何でだ?」
「ウサギにした事で湊眞は直ぐに助けれたでしょ?
人間の場合じゃ直ぐには無理」
「それはそうかもだが…」
湊眞はそれだけ告げると、花音に連絡して着替えだけお願いできないか頼んでいた。
「おはよう、湊眞くん?
雫はまだ寝てるんでしょ?」
「うん?
俺はお粥作るから起こして着替えさせてくれない?
とりあえず、水に氷枕と冷えピタに脇とか用の氷」
「うん、わかったわ」
花音はそう告げると、湊眞の部屋に入ると雫を起こしていた。
「雫、起きなさい」
「んー
ママ?」
「誰がママよ?」
「…花音?」
雫はキョトンとしながら花音を見ていたが、体が重くて気怠い事に気付く。
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