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「厄介なのが来たもんだな」
「碧、今来たのか?」
「うん?
樹里と一緒に居たしね」
「あ、そっか…
彼女いたんだったな」
紅音が思い出したようにそう告げると、碧はフッと微笑むとこう告げる。
「紅音、寂しいのか?」
「な、何だそりゃ?!」
「俺盗られて詰んない?」
「んな訳あるか!
イトコだぞ?」
「まあ、どっちでもいいけど…
さっきのアイツは雫ちゃん狙ってんだよな」
「あぁ、そうみたいだ」
紅音がそう頷くと、碧は黒い笑みを浮かべては何やら企んでいた。
「恐っ」
「ふふっ
相模くんが居るなら雫も安心だわ」
「怒ると怖いからやだけどな」
紅音が不安そうに碧を見ていると、花音は何となく外を眺めていた。
その頃、雫は湊眞と図書室に来ては本を物色中であった。
「雫?」
「はい?」
「ギュッてしていい?」
「…湊眞くん、どうしたの?」
「俺、抱き締めるって言ったよな?
忘れてる?」
「…良いですけど、ちょっとだけですよ?」
「ちょっとね?
それは無理だから諦めて」
湊眞はそう告げると、雫を優しく引き寄せると大事そうに胸の中に閉じ込めた。
「…?!」
雫は何となくドキドキしてくるので戸惑ってしまったが、湊眞の背中にギュッと掴まる。
「雫…
心臓の音凄いけど、大丈夫?」
「あ…
何だかドキドキしてしまって」
「ふぅん?
雫、触ってみる?」
「え?」
雫は驚いていたが、湊眞は本棚の前に座ると、雫を引き寄せてくる。
「湊眞?」
「雫から触ってみたいって思って欲しいな…」
「私も…
触りたいですよ?」
「…本当?」
「でも、湊眞が嫌だったらって考えちゃって出来ないのかも…」
雫がそんな風に告げると、湊眞は嬉しくて堪らないので微笑んでいた。
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