好意より憎悪

5/5
2828人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
「お帰り」   俺がそう声を掛けると、小林さんは、あ…ああ…と微妙な返答を返してきた。 さきほどの美少年に聞いたのだが、どうやら小林さんは見た目こんなにいかついヤンキー系なのに実はめっちゃいい奴らしい。 ギャップなのだ。まぁ、喧嘩とかはするらしいが…。   「トイレで何してたの?」   「便所つったら、する事は一つしかねーだろ…」   小林さんはぶっきらぼうに答えた後、鞄から週刊誌を取り出して読み始めた。 俺との会話を避けるように。   「トイレで何してたの?」   「今答えただろ…」   「トイレで何してたの?」   「うるせぇ」   「トイレで何してたの?」   「黙れ死ね」   「トイレで何してたの?」   「本当死ね。まじで死んで下さいお願いします」   「トイレで何してたの?」   「しっこ」   小林さんは心底嫌そうに週刊誌をペラペラめくりながら、言い放つ。 その言葉を聞きたかった俺は笑顔で小林さんの顔を覗き込んだ。   「おしっこしてたの!?スッキリした!?スッキリした!?」   「スッキリしたよ…」   「これはいけません!!気持ち良かった!?」   その瞬間、小林さんが席を立つ。 そして俺の前の席の美少年の肩を叩いた。   「西田、お前イケメン好きだよな。オレと席かわってくれ」   「えー…うん。いいよぉー…」   前の席の美少年・西田は俺をチラッと見て頬を染め、小林さんに向かって頷く。   西田てめえええええ!!俺に冷たくされて惚れてんじゃねええ!!   あ…それより小林さんにイケメンって言われちゃった…。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!