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「お帰り」
俺がそう声を掛けると、小林さんは、あ…ああ…と微妙な返答を返してきた。
さきほどの美少年に聞いたのだが、どうやら小林さんは見た目こんなにいかついヤンキー系なのに実はめっちゃいい奴らしい。
ギャップなのだ。まぁ、喧嘩とかはするらしいが…。
「トイレで何してたの?」
「便所つったら、する事は一つしかねーだろ…」
小林さんはぶっきらぼうに答えた後、鞄から週刊誌を取り出して読み始めた。
俺との会話を避けるように。
「トイレで何してたの?」
「今答えただろ…」
「トイレで何してたの?」
「うるせぇ」
「トイレで何してたの?」
「黙れ死ね」
「トイレで何してたの?」
「本当死ね。まじで死んで下さいお願いします」
「トイレで何してたの?」
「しっこ」
小林さんは心底嫌そうに週刊誌をペラペラめくりながら、言い放つ。
その言葉を聞きたかった俺は笑顔で小林さんの顔を覗き込んだ。
「おしっこしてたの!?スッキリした!?スッキリした!?」
「スッキリしたよ…」
「これはいけません!!気持ち良かった!?」
その瞬間、小林さんが席を立つ。
そして俺の前の席の美少年の肩を叩いた。
「西田、お前イケメン好きだよな。オレと席かわってくれ」
「えー…うん。いいよぉー…」
前の席の美少年・西田は俺をチラッと見て頬を染め、小林さんに向かって頷く。
西田てめえええええ!!俺に冷たくされて惚れてんじゃねええ!!
あ…それより小林さんにイケメンって言われちゃった…。
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