好意より憎悪2

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「おはよう」   靴を履き替えてる小林さんの横に立ち、俺はイケメンスマイルを繰り出す。 小林さんは、朝から嫌な奴に会ったと言わんばかりの表情をしていた。   「…おっす」   でも返事する所が小林さんらしい。   「小林さん、朝ご飯何食べた?」   「おにぎり」   上履きに履き替えた小林さんは足早に教室に向かいだす。俺と歩きたくないようだが、俺は気にせず小林さんの隣に肩を並べて歩を進めた。   「おにぎりいいい!!中に何が入ってたの?」   「いちいちうるせぇよ…。何も入ってねぇよ」   「ちょwww本当に?何も?うわ最悪wwwまじかよww白米フィーチャリング海苔かよwせめて梅干くらいww」   「別にいいだろ…」   俺は馬鹿にしたような笑い方で小林さんに顔を向ける。   「良くないよ。今度俺の家来なよ、牛肉しぐれ入りだから。小林さんのお母さんってダメな人だね」   そう言った瞬間、小林さんは俺を睨みつけてきた。   「オレのオフクロ馬鹿にしてんじゃねぇよ!!女手一つで育ててくれてんだよ!お前ん家の牛肉しぐれ入りのおにぎりより、オレのオフクロのおにぎりの方が絶品なんだ!!死ねよ!!」   小林さんは怒ったまま教室に走っていってしまう。 ううん、小林さん…本当は小林さんのお母さんのおにぎり食べてみたいんだ…ダメな人なんて思ってないよ。 あと実は俺の母さんは朝はトースト派なんだ、嘘吐いてごめん。   あ、それより小林さん母子家庭なんだ。もっと小林さんの事、知りたいな。
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