Ⅰ・黄金の娘

8/51
前へ
/53ページ
次へ
「カイっ!ミハって呼ぶの駄目!」 本当に僕の気持ちも知らないで―――と、海人は大きな溜め息をついた。 美春の少し上気して赤くなった頬を見つめながら、年の割に幼さが抜けない少女を心配した。 この国の春の訪れは、この村から始まる。正確には村の外れの谷間から吹く春一番から、冬から春へと変化していく。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加