1.潰れた蜥蜴とセメントロール

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少年に導かれたさき。 そこは急拵えの陣地だった。 元は公園だったであろう場所。 遊具は根こそぎ撤去され、数機のヘリと少年と同じような装備の人員が忙しなく動いていた。 と、此方を出迎えるように二つの白い人影が歩いてくる。 1人は男。 白い軍服に身を包んだ、恰幅のいい固太りの。 潰れた蜥蜴のような顔に自信ありげな、人を食ったような笑みを浮かべている。 2人目は女。 同様の白い軍服に引き締まり均整のとれた体つき。要するに、スタイルがいい。 無表情に、まるで男の影のようにつき従っている。 2人とも一見して軍の上層部の人間であると知れる。 「ようこそ、傭兵」 男が目の前に立った。 策士、という言葉がピッタリと当て嵌まる印象。 そして、この物言いは、 「俺がどういう人間か、知っていると?」 あからさまに警戒を込める。 女の方が僅かに身構えるが無視。 この手の、状況を自分の掌の上でまわすタイプに関わると、ろくな目に会わない。 「ああ。そういうことだ」 男の笑みが、さらに深くなる。 「さて、早速だが契約の話といこうか」 と、そこで初めて俺を連れてきた少年に目をやる。 まるで、今気付いたかのように。 「……ご苦労。下がって構わん」 慌てて敬礼し、陣地へ向かう少年。 「ついてくるがいい」 男は、その少年を追うように背を向けて歩き出した。
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