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目を泳がせていると、高そうなオーク材の棚に、昨日ユキトが買った本が並んでいた。
「これ……」
「おぉ、それか」
ビクリとする。
自分のお気に入りだからつい反応してしまったが、他人の前だったのをうっかり忘れてしまっていた。
オドオドと手と首を横に振っていると、理事長はスッと寄り、例の本を取る。
「何を狼狽えておる? この本、お主と出会ったあとに買ってみたんじゃが、なかなかに面白くての。つい夜通しで読破してもうた」
「……えっ……」
ユキトは驚いた。
寛二以外に理解されるとは思ってもみなかったから。
いや、理解してくれる人も中には居たのかもしれないけれど、少なくともユキトが今まで出会った人たちでは寛二以外では初めてだったから。
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