物語は突然に

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ずっと1人でやってきた。 だから、ユキトにとって理解を示してくれた寛二以外の他人を知らない。 家でも部屋からあまり出ないから、コミュニケーション能力皆無。 だからこそ、空気を演じてきた。 「―――僕には、色んな世界が待ってるから」 本屋で買った本たちを見つめ、呟く。と、アスファルトの盛り上がりに足を取られ、つまずく。 転びはしなかったが、代わりに本が数冊、投げ出されてしまった。 「あ……」 ブックカバーをつけてもらったから傷がつく心配はないが、踏まれでもしたら大変だ。
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