252人が本棚に入れています
本棚に追加
風ではらりと捲れたページには、顔を紅潮させた美少女。
「はっ?」
と、素っ頓狂な声をあげていると、後ろからドガァァァッ、と大きな音が聞こえる。
振り返ると、女性がさっき立っていた位置にはブレーキの跡、その先にはトラックがコンビニのウィンドウに突っ込んでいた。
大騒動。それ以前に、女性は驚いていた。
自分がこの少年に惹かれなければ、轢かれていた。
間接的ではあるが、助けられたのだ。
女性は偶然など信じていない。だからこそこれは―――
「わわっ、すいません! その、えっと、拾ってくれてありがとう……」
最後は消え入るような声。
先ほどの本を隠すように抱きすくめ、キョドる。
八代高校の制服……女性は不敵に笑い、口を開く。
「お主、名前はなんという?」
最初のコメントを投稿しよう!