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「昨日、私が理菜に言ったの。『最初から学校に行かなければいい。学校を休めば学校から出たことにはならない』って……それを、ルール違反と見なされて鬼に」
「そんなことない!」
涙混じりに話す麻耶の机を思いっきり叩いて私は叫んだ。辺りにいる生徒が目を丸くして驚いている。
「ご、ごめん」
私は何故か申し訳なくなって身を引いた。
すると咲が麻耶の肩に手を置いて宥めるように言った。
「麻耶、大丈夫だよ。まだ理菜が鬼にどうこうされたって決まった訳じゃないんだし」
「グスン……うん」
麻耶は涙を拭き取ると咲に向かって笑顔を向けた。
その時、校内放送が鳴り響いた。クラスに居る生徒たちは一斉にスピーカーのほうに視線を向ける。
『全校生徒の皆さん。これより緊急の全校集会を開きます。十時五分までに体育館に集合してください』
放送する教頭の声は明らかに震えていた。本当に……本当に鬼が来ているの?
私達、どうなるの?
自分の世界に入っている私を咲が私を呼ぶ声が現実に引き戻した。
「織音!早く行くよ!」
「あ、うん……」
私は気のない返事をすると咲達を追って体育館へと向かった。
体育館には既にほぼ全ての生徒が集まっていた。
そして、その生徒達全員が、ステージを青ざめた表情で凝視していた。
その様子を不思議に思った私もステージに視線を移す。そこには……
「り……な……」
夥しい量の血液。その血液はステージから滴り床に落ちていた。
その血液のもとを辿ると、それは一人の少女に行き着く。
毎日の様に見ていた私達が良く知るその少女は、あまりにも酷で、悲惨で、言葉にできない姿をしていた。
天井から伸びるロープが少女の首輪と繋がっており、少女の足は浮いている。そしてその腹と胸には杭が打たれ、血液はそこから出血していた。目にはもう輝きが残っていない。
―――ずっと友達だった、あまりにも変わり果てた姿の理菜が、そこにあった。
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