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何……あれが、鬼?
ひとりひとり名前を呼ばれた鬼と思われるスーツを纏った人達の一人、獅子と呼ばれた人はステージ脇の機械を操作し、天井にぶら下がるスクリーンを下ろした。ぶら下がる理菜の姿は、そのスクリーンによって遮られた。
そして火男と呼ばれた人がステージを降りステージ前の長机に置かれた映写機を操作する。
火男がその操作をしている間、スピーカーからまた機械音のような声が聞こえた。
『みなさん。これから【鬼姫の鬼隠し】の開会式を始めたいと思います』
体育館内がざわめき始めた。側にいる麻耶が震えた声で話しかけて来た。
「ねぇ……これから何が始まるの?」
何が始まるのか?そんなのこっちが聞きたいよ。
私達が、何をしたっていうの……
私はうつむき、涙が出そうになるのを唇を噛み必死で堪える。
麻耶は私以上に辛いハズだ。理菜が自分のせいで死んだと思ってる。本当はそうじゃないにしろ、麻耶がそう感じていることは事実だ。
ここで、私が弱音を吐く訳にいかない。結局私の口から出たのは、
「大丈夫だよ」
の一言だった。
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