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どうやら、レディースの後輩みたいだ。その生徒を除き、他の後輩は人の流れに乗り逃げてしまったみたい。
薄情ね……結局みんな我が身が一番なのかしら。こんな窮地に追い込まれれば当たり前だろうけど。
そして、私は美里香を運ぶのを手伝おうと二人のもとに向かった。
「……なんだよ……桜木」
後輩生徒が荒い息づかいで言った。無理もない。
美里香はレディース総長だけあって見た目は華奢だがその身体はしなやかな筋肉に縁取られているのが服の上からでもわかった。さらに背も高いので、それを女子ひとりで運ぶのは苦労するだろう。
「私も手伝うよ」
私はそう言うと女子生徒が担いでいる右肩とは反対の左肩を担ぎ、軽く走りだした。
「あ、ありがとう……」
「いいの!早く行かないと鬼が来ちゃうでしょ!」
後輩生徒が顔を赤くして礼を言うと、私は微笑んで返した。
「でさ、あなた名前は?」
「……お前同級生の名前も知らねぇのかよ」
「え?」
私は自分でも情けないと思えるほど情けない声が出た。
「……館林皐月(たてばやしさつき)だ。『紅武者(あかむしゃ)』の第二班班長だ」
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