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紅武者……レディースの名前だ。第二班班長という役職がどれほどのものなのかは分からないけど、この人も女子にしては強そうな体格してるし、レディースの中では上なんだろうな。
「へぇ……その紅武者を仕切ってる美里香先輩って……強いんだろうね」
皐月は美里香の顔を見て頷いた。
「ああ。強い。男の族の奴等にも負けないさ。総長の強さはなにより……」
その時、激しい足音が背後から聞こえた。
背後を振り向くと黒スーツがダッシュでこちらに向かって来ている。なんで!?黒スーツは校舎側から入るんじゃないの!?
「急げ桜木!恐らく俺達はこのカーペットを渡りきって校舎に入らなきゃ一階の安全地帯に入ったことにならねぇんだ!」
そんなことって……!
私は美里香を担ぐ肩を上げ走り始めた。それに乗じて皐月も走り始める。
「ヤバい!追い付かれるよ!」
黒スーツのひとりの狸が既に近くに来ていた。それに皐月が後ろ蹴りを顔面にヒットさせ転ばせる。
転んだ狸はカーペットの上で悶えており、代わりに獅子が来た。
「なっ?あんなおっさんありかよ!」
獅子はとてつもない速さで追いかけてくる。
もう駄目だと思ったその時、急に肩にかかっていた重みが消えた。
そしてそれを感じた二秒後、凛とした声が聞こえた。
「三下はすっこんでろ」
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