開会式

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「そ、総長!?」 美里香が黒スーツの前に仁王立ちになっていた。獅子は勢いを下げずに右手で拳をつくり美里香の腹めがけ打つ。 しかし、美里香はそれをはたきおとすと相手の足を引っかけ半回転したところに相手の足を蹴り上げ一回転させた。 頭をコンクリートに強打した獅子は動かなくなった。 す、凄い……動きが速い上に無駄がなかった…… 「さっさと行くぞ二人とも。またあいつら来るぞ」 美里香は私達の肩を叩いて走りながら言った。私達は美里香の後を追って校舎へと入った。 「すまなかったなぁ、桜木。とりあえずアイツは俺の必殺技喰らわしといたから。大体のやつは一日目が覚めない」 カーペットを渡りきり校舎に入ると、美里香が突然謝罪してきた。 「あ、いや、いいんですよ。お気になさらず」 相手がレディースの総長だけあってどう言っていいか分からない。先程の身のこなしを見てどれほど凄いひとなのかが分かったせいでもある。つか一日目が覚めないとかどれだけすごいの…… 「あれ、そういや皐月は?」 美里香が皐月がいないことに気づき、周りを見回した。 するとそのあとすぐ、さっきも持っていたスクールバッグを振り回しながら息を切らして皐月が走ってきた。 「す、すいません総長遅れました…………あの、他の仲間のことなんですけど、なんとか引き止めたんですが、皆鬼姫とやらを恐れて先に」 皐月が申し訳なさそうに言った。すると美里香は皐月の肩に手を置く。 「仕方ねぇよ。誰だってあんな状況になりゃ逃げ出すさ。現に一人殺されてるんだからな……でもお前は俺を見捨てなかった。ありがとう」 「総長……!」 皐月は美里香の服を掴み泣き出した。あの状況で一人で美里香を助けようとしてたとき……怖かったんだろうな。
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