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「織音ー!織音ー!」
咲が私を呼びながらこちらに走ってくる。しかし、咲は数メートル離れたところで止まり、私達を呆気にとられた表情で見ていた。ど、どうしたのかな?
「咲?」
「どうしたんだアイツ?」
すると、咲はちょいちょいと私に手招きする。何だろうと思い私が咲のもとに向かうといきなり肩を組まれ咲は耳に囁いてきた。
「ちょっと織音……あれさっき黒スーツに喧嘩売った紅武者の総長でしょ?何で一緒にいるの?」
咲は眉間にシワを寄せて美里香をチラ見する。……紅武者って評判悪いのかな?いや当たり前か。
「大丈夫だよ。優しいひとだと思うよ?さっきだって私とあそこにいる皐月を黒スーツから助けてくれたし」
そう言って私は皐月をチラ見する。すると咲はため息をついた。
「……ホント織音って誰とでも仲良くなれるよね。尊敬する」
「二人ともいつまでコソコソやってんだよ」
私達は肩をビクつかせて後ろを振り向いた。あからさまイライラした表情の美里香がいた。
「あ、いえ、いや!なんでもございません」
咲があわてふためいて誤魔化した。かわいいな……
美里香は少し難しい顔をしたが、ため息をはくと咲のもとに歩き始めた。
「まぁ、いい。これからどうするかだ。大半の連中は恐怖して一階にいるに決まってる。私達が動くしかない」
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