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二階の廊下には異様な空気が広がっていた。
いつも過ごしていた馴染み深い廊下のはずなのに今は何故かよそよそしく感じる。まるで幽霊屋敷にでも入ったよう。
自分達の足音が人気のない廊下に響く。音が無いせいか足音が反響する。
この異様な空間で最初に口を開いたのは咲也子だった。
「……で、あてもなく歩いてるけど、二人がどこにいるかとか鬼姫がどこにいるかとかの目星はついてるの?」
突然咲也子が私に訊いてきた。目星……無い。だってなにも手がかりないものね……どうしよ。
「ま、まぁ探してればそのうち見つかるんじゃないかな」
私がギクシャクした口調で答えると咲也子は呆れたようにため息をはいた。
「……このまま何も考えずに歩き回ってると死ぬわよ。こっちは鬼から逃げる方。鬼に足音で居場所を教えてるようなものよ」
ですよねぇ……
追う方は足音する方向に向かっていけばいいだけだもんね。
足音……
「!」
私達が歩いてきた道……向こうから足音……
鬼!?
「みんな!後ろから足音がする!」
私が皆に叫ぶと、皆は一斉に後ろを振り向く。そして美里香と皐月は前に出、臨戦態勢をとった。
足音が近づいてくる。暗闇のため、その足音の正体が分からない。
「織音、咲、咲也子。おめぇらは先に逃げてろ。俺達にもしものことがあったらおめぇらも……だから逃げろ」
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