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「そんな!やだよ見捨てるなんて……」
「心配すんじゃねぇよ。こちとら伊達に総長やってるわけじゃねぇんだ。さっさと行け」
そんなこと言ったって……!
美里香と皐月の後ろ姿と理菜の無惨な姿が重なる。
あんなの見るの……もういや!
私は二人も一緒に逃げさせようと二人の肩に手を伸ばす。
その時、私の身体が誰かに強引に引っ張られた。
「!?」
私はバランスを崩し転びそうになる。引っ張っている手がさらに強く肩を引っ張ったので、私はそれを利用し体制を整えた。
すると手はさらに強く私を引いた。
「さ、咲也子!?」
手の正体は咲也子だった。
咲也子は私を思いっきり引っ張ると走り始めた。それにつられて私の脚も駆け始める。なにがなんだかわからないという様子の咲も横を走り始めた。
「ちょっと!咲也子!?あの二人……」
「黙ってなさい」
私が二人のことについて言うと咲也子にそれを遮られた。
「あそこに居てあの二人がもしも殺されたりしたら共倒れよ。今は生き延びることだけ考えなさい。たとえ他人を見殺しにしても」
あまりに冷たい咲也子の発言と表情に私は呆気にとられた。
咲也子ってこんなキャラだっけ……?
「でも咲也子、二階に向かおうとする亜理砂を必死で止めてたよね」
咲が不思議そうにそう言うと、咲也子はフン、とそっぽを向いて答えた。
「それは二階に登っちゃうまでの話。亜理砂も自分も命がけの場所に居るのなら、いざというときは亜理砂だって見捨てる」
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