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やっぱり……そうなんだよね。
私は走りながら思いを巡らせる。
いつだって人間は我が身が一番なんだ。自分に危険が及ぶ時、平気で他人を見捨てる。それが人間の本当の姿……
当然なのかもしれない。
だって、わたしも――。
ミゴロシニシタカラ。
「おい……あれ鬼じゃなくねぇか?」
総長が突然ぼんやり見え始めた人影を見て言った。
鬼じゃない?
私は目をこらして凝視する。確かに……服が黒スーツじゃない。ジャージ?
私が誰なのか必死に考えていると、人影は声を上げながらこちらに走ってきた。
「円谷!館林!」
この声……
「皐月、あれ逢坂だよな?」
総長がぼそっと呟いた。逢坂……あの国語の先公か。イケメン先公とか言われてるけど、正直あのなよなよというか草食系な感じ、私は好きじゃない。
逢坂は私達の前で止まり、いきなり私達を抱き締めた。
「ひゃっ!?」
「なっ!?」
「心配したんだぞお前ら……!」
私は驚愕した。
まず、逢坂がいきなり私達を抱き締めたことだ。しかし、それよりも……
「総長…………『ひゃ!?』って……」
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