開始

4/12
前へ
/52ページ
次へ
やっぱり……そうなんだよね。 私は走りながら思いを巡らせる。 いつだって人間は我が身が一番なんだ。自分に危険が及ぶ時、平気で他人を見捨てる。それが人間の本当の姿…… 当然なのかもしれない。 だって、わたしも――。 ミゴロシニシタカラ。 「おい……あれ鬼じゃなくねぇか?」 総長が突然ぼんやり見え始めた人影を見て言った。 鬼じゃない? 私は目をこらして凝視する。確かに……服が黒スーツじゃない。ジャージ? 私が誰なのか必死に考えていると、人影は声を上げながらこちらに走ってきた。 「円谷!館林!」 この声…… 「皐月、あれ逢坂だよな?」 総長がぼそっと呟いた。逢坂……あの国語の先公か。イケメン先公とか言われてるけど、正直あのなよなよというか草食系な感じ、私は好きじゃない。 逢坂は私達の前で止まり、いきなり私達を抱き締めた。 「ひゃっ!?」 「なっ!?」 「心配したんだぞお前ら……!」 私は驚愕した。 まず、逢坂がいきなり私達を抱き締めたことだ。しかし、それよりも…… 「総長…………『ひゃ!?』って……」
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加