開始

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私がそう言うと総長は顔を真っ赤にして照れを隠す様に逢坂を突き飛ばした。 「て、てめぇ気安く触るんじゃねぇッ!」 「あだっ」 突き飛ばされた逢坂は床に尻餅をついた。 ……まぁ、総長もひとりの女子高生。イケメンに抱き付かれれば、そりゃあ―― 「い、今なんか失礼な事考えてんだろ」 赤面のまま総長は私の目の前に拳を突き出した。読心術かっての……にしても、 「可愛いっすね」 私がそう言ったのがトドメだったようだ。 「てめぇぶっ殺す!」 「あっ!?冗談!冗談ですって総長!」 総長はさらに顔を真っ赤にして追いかけてきた。あの『魔王の娘』と呼ばれたあの総長があんな恥じらいを…… もしかして逢坂に気があるんじゃ? すると当の本人、総長はいきなり足を止め、尻餅をついたままの逢坂に手を伸ばした。 「な、なんだ?」 逢坂はなんのこっちゃわからんという表情で総長を見つめた。その視線を受けると総長はまた顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。 「わ、悪かったな」 そう言って逢坂の手を掴み、逢坂を立たせた。 逢坂の手を握っていた時の総長の顔と言ったらもう……乙女といいますか、女神といいますか。 確定だな、こりゃ。
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