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「亜理砂……」
私がそう呟くと、咲也子がすぐに反応しこちらを振り向いた。
……なんだかんだ言って心配なのね。亜理砂のこと。
「亜理砂がどうしたの?」
「いや、ここまでの人を操作できる上、あのご馳走、そして知力を考えたら、社長の娘でテストは必ず3位以内に入る亜理砂が妥当かなって……」
私の見解を耳にした咲也子は、凄い剣幕で私の胸ぐらを掴んでくる。
やっぱ心配なのか。
「あなた亜理砂が鬼姫だと思ってるの!?ふざけるのも大概にしなさい」
「ご、ごめん……」
じゃあ、鬼姫は一体誰なの……?見当もつかない。
少しは目星をつけておかないと……時間がない。
私が鬼姫が誰なのか考えを巡らせていると、外がいきなりざわめきだした。
急いで窓から外を見ると、十数人の警察官が昇降口で鬼とにらみ合っている。
警察が到着したのか。これからどうなるか……
警察官の一人が鬼の前に出て説得し始めた。
「君達、ここで何をしている。学校に無関係の人間は入ってはいけないぞ」
しかし、鬼は誰一人としてそれに答えることもなければ、警察官を見ようともしなかった。
眼中にない、か。
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