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「しまったな……織音の携番聞いとくべきだった」
総長は携帯のディスプレイを見て言った。
体育倉庫に着き一通り役に立ちそうなものを揃えた私達は織音達と合流しようとしていたのだが、その矢先連絡方法がないことに気づいた。
「どうしますか総長?このままここにいるわけにもいきませんし、かといって闇雲に歩き回ると鬼と鉢合わせになるかもしれませんし」
私が誰かの忘れ物と思われるリュックサックに救急箱を詰め込みながら訊くと、総長はおもむろに近くにあった金属バットを持ち上げ答えた。
「バーロー。なんのための武装だと思ってんだ。これで複数の鬼とやりあうことができる。相手は最大四人だぜ?四人固まって行動なんてことねぇから多くても二、三人だろ。三人だとしても俺が二人相手すればいいし……」
そこで言葉を切ると総長はチラリと逢坂を一瞥して続けた。
「逢坂もいるしな」
……もうそういうのいいよ。
私が心の中でそう呟くと、外で誰かの叫び声が聞こえた。
「離して!私達はこんなとこで死にたくない!死ぬわけにいかないの!」
「いやぁぁぁっ!離して!」
二人の叫び声だ。まさか……!
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